病院薬剤師の部屋

病院薬剤師へのおすすめ書籍等を紹介しています

※本代の足しになればと、Amazonアソシエイトリンクを貼っています。

☆薬の上手な出し方&やめ方

【特徴】

・前半部分は医師達と薬剤のカンファレンスの形で、各症例の処方整理について

 提示している。

・後半部分では専門医が循環器薬、消化器疾患治療薬、呼吸器薬etc...について

 「始め時・やめ時」をエビデンスを引用しつつ解説している。

【コメント】

・「始め時」はいざ知れず、「やめ時」というのは普段中々学ぶ機会が無いと

 思われる。ポリファーマシー対策を考えるにあたり、この「やめ時」に関する

 考え方は非常に役立つと思われる。

・前半部分はカンファレンスの形で症例検討が行われているが、「○○という

 エビデンスがあるから、A薬は不要」といった風な短絡的な考え方はされておらず、

 患者の社会的背景も含めた検討がなされている。

 提示されるエビデンスだけでも勉強になるが、エビデンスに偏重しない考え方は

 実際の臨床現場において減薬を行うにあたり参考になる。

薬の上手な出し方&やめ方 (ジェネラリストBOOKS)

☆レジデントのための血液透析患者マネジメント第2版

【特徴】

血液透析の原理や、CKD・透析患者における各病態のマネジメントについて

 解説している。

【コメント】

・ページ数が202ページと少な目なので、一気に読んでしまえる。

血液透析の仕組みについて非常に分かりやすく解説されている。

 除水量の考えかたや腎性貧血、電解質異常に対する処方など、透析にたずさわる

 医師の考え方を学ぶことが出来る。

・更に深く学びたい人のための参考文献もある。

・透析を行っている施設で勤務する事になったが、透析が何をしているのか

 サッパリ分からない、透析患者における薬物療法で注意することは?腎性貧血・

 電解質異常などの大まかな治療方法や薬剤の使い分けは?そういった疑問を

 持っている人には是非おすすめ。

レジデントのための血液透析患者マネジメント 第2版

☆がん専門・認定薬剤師のためのがん必須ポイント

【特徴】

・化学療法の基礎知識(PS、RECISTガイドライン等)や抗がん剤について(作用機序、

 副作用など)、各がん種の特徴や治療について解説した書籍。

【コメント】

・余計なお世話だと思うが、本のタイトルを変えた方が売り上げが伸びるのでは

 ないかと思われる。

・「がん専門・認定薬剤師のための」の一文で、非常に難解な内容を想像し本書を

 避けている人が一定数いるのではないだろうか?実際には化学療法の基礎知識や

 各がん種の特徴、予後、治療方針、レジメン選択、各抗がん剤の特徴(用法・用量、

 調製時の注意点、副作用など)をこれほど簡潔かつ分かりやすくまとめた書籍は

 なかなか無いと思われる。

・各がん種のガイドラインは診断についてや、非薬物療法についての記述もあり、

 おおまかな治療方針を理解する事が難しい。「ガイドラインを見たが結局良く

 分からない」という人にもオススメ。

がん専門・認定薬剤師のための がん必須ポイント 第4版

 

☆腎機能別薬剤投与量

【特徴】

・各薬剤毎に腎機能別の用法・用量を記載した書籍。

【コメント】

・書籍の前半部分では腎機能の推算法(CG式など)について記載されており、

 新人薬剤師はまずはこの部分を一読しておくべき。

・腎機能別投与量のページは、Ccrを正常・軽度~高度低下・高度低下・末期腎不全・

 HD/PDで区切ってあり、視覚的に分かりやすい構成になっている。

・ポケットサイズで持ち運びやすい

・腎障害時の用法・用量についてより詳細に知りたい場合は「透析患者への投薬

 ガイドブック」を参照

腎機能別薬剤投与量POCKETBOOK 第3版

☆アナタはなぜチェックリストを使わないのか?

【コメント】

・著者は外科医であるアトゥール・ガワンデ医師

・医療現場におけるミスを防ぐための方法として「チェックリスト」の作成・導入を

 推奨している。

・優れたチェックリスト作成のため、著者は航空業界・建築業界など異業種における

 事故やチェックリストも調査しており、単純に読み物としても興味深い。

・チェックリスト導入の効果だけでなく、改善点や導入にあたっての注意点等も

 記述されている。

・巻末の「チェックリスト作成のためのチェックリスト」は実際にチェックリストを

 作成する上で役立つと思われる。

・著者は医師であるが、薬剤師にとっても参考になる部分があると感じた。

アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】

☆抗菌薬の考え方、使い方

【特徴】

感染症診療についての考え方、抗生剤の使い方についてその原則から解説している

 書籍。抗真菌薬や抗ウイルス薬についても記載あり。

ペニシリン、セフェム、キノロン…と抗生剤の種類別に使用される代表的な感染症

 有効な菌種や無効な菌種について解説している。また、同効薬が多数ある抗菌薬に

 おいて、どのように使い分けるのか?臨床的な重要度は?といった視点からも解説

 されている。

【コメント】

・初学者がいきなり読むにはやや難解ではないかと思われる。

・最新版はver5だが、verによって読みやすさがかなり異なる印象がある。

 個人的にはver3は読みづらかった。

・本書で推奨されている細菌マインドマップは、細菌について整理する上で

 非常に有用だと思われる。

・ICTやAST、あるいは薬事委員会等で、どういった薬剤を採用し、削除するのか

 考える機会があると思われるが、本書における薬剤選択の考え方が参考になると

 思われる。

抗菌薬の考え方,使い方 ver.5 コロナの時代の差異

☆感染症プラチナマニュアル

【特徴】

・抗生剤、病原微生物、感染症それぞれの観点から感染症診療について

 記載された書籍

・ポケットサイズのコンパクトな書籍

【コメント】

・抗生剤→ 用法・用量、どの細菌に有効なのか、注意すべき副作用

 細菌 → 選択すべき抗生剤、代表的な感染症

 感染症→ 主な起炎菌、症状、治療期間

 上記のように、臨床現場における疑問をサッと調べられるような構成になっている。

感染症診療において必要不可欠な情報がコンパクトにまとまっており、病棟などで

 抗生剤について聞かれるも答えられない、そんな人にもオススメの書籍。

(もちろん感染症診療についてしっかり学びたい人にも。)

 

感染症プラチナマニュアル Ver.7 2021-2022